花は野にあるように
「………うん。」


確認された事柄に、僕は口の中のものを飲み込んでから答えた。


「後は文化祭さえ終わったら、この花壇でゆっくりさせてあげるつもりだったのに。」


なのに、ごめんなさい。


僕は心の中で花へ謝る。


「ん?
ゆっくりはさせてやりゃいんじゃね?
でまぁ文化祭にはきれいな花を見に来る奴はいても、評価される訳じゃないだろ?」


え、と。


うん。


確かに品評会で入賞した先生の花がどれかを見に来る人はいても、もう一度評価を受けるわけじゃないからね。


「うん。」
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