花は野にあるように
「でもって、折れたところの下にも同じ大きさ、同じ角度で。」


スパッっていう音が聞こえそうな位の勢いで、リョクは今度は刃を振り上げる。


その姿はまるで昔の侍のようで、ものすごく素敵に決まっていた。


見とれている場合じゃないんだけどね。


「で、切断面が乾いてしまわない内に、卵白を塗って両方をつけるっと。」


さっき、切り取ってしまった花と、スックと立っている茎だけになっているものにリョクの指が卵白を塗って上下からしっかりと押さえる。


しばらくそのままで押さえていたリョクは、その部分を指で支えながら僕を見た。
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