花は野にあるように
訊ねる僕の顔をチラッと見て。


そうしてリョクはニヤッと笑った。


「さっきミキが座った椅子、な?」


ちょっと悪戯っぽく笑いながらリョクは言う。


「ぐらつかないよな?」


え、と。


さっき僕が座ってた………って、足が沈み込んじゃったこれだっ!


リョクの言っているものが何かを理解した僕は、慌てて足下に視線をやる。


「これ、だよね?
あ、うん。
ぐらつかないよ?」


と、言うより動かせないって言った方が正しいんだけどね。


僕が全体重をかけて座ってしまった、その小さな木の椅子は地面の中へ足をめり込ませてしまってビクともしなかったから。
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