花は野にあるように
僕には判らない事だって、リョクには判る事なんだよね。


そう、思い付いて。


だけど、僕は取り出したケータイを手の中に握ったまま、その液晶画面と見つめあってしまった。


画面に表示されているのは、夏に山へ行った後リョクから教えてもらった………というか、僕が強引に聞き出したリョクの携帯の番号なんだけど。


全然連絡先を知らないのが不自然だと思わないぐらいに、いつも一緒に居てくれたリョクが怪我をしていて、それを僕に内緒にしていたのに気付いた時、僕はリョクから携帯の番号をいつもの僕にはありえないぐらいに強引に聞き出していた。
< 1,069 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop