花は野にあるように
『ミキ………だよな?
こんな時間にどうかした?
んん?
何かあった?』


ゆっくりと囁いてくれるリョクの声を聞いて、極限まで速くなってしまっていた僕の胸の鼓動も少しマシになってくる。


「あ………こ、こんな時間にごめんね。
リ、リョクにちょっと聞きたい事があるんだけど………今、いい………かな?」


飛び跳ねるようだった心臓を押さえていた手を、窓の方へ移動させながら、僕はケータイの向こうへと訊ねた。


窓はまだ、強い雨に叩かれている。


そうだ。


ドキドキしている場合じゃないんだった。
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