花は野にあるように
「な、泣かないんだからねっ!」


むうって思いながら電話の向こうへ頑張って言い返すと、リョクの声が一瞬途切れた。


あれ?


聞こえなかったのかな?


「リョク?」


なんだか気配はするけど、声は聞こえてこない向こう側へと問いかけてみる。


途端に。


『ぶひゃっひゃっひゃっ!』


絶対に、笑い声には聞こえない。


だけど間違いなくお腹を抱えて笑っている事が見えなくても簡単に想像できてしまう爆発的な笑い声が聞こえてきた。


「リ………リョク?」


一体、何を笑う事があったわけ?
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