花は野にあるように
気安く名前を呼ぶリョクの顔を見て、駅員さんもあぁ、と腑に落ちたように笑顔になった。


「確か……大地君…だったよね?え、何?もしかして、昨日言ってたチカンの犯人って……この人?」


「そ。昨日は取り逃がしちゃったけどな。今日はちゃんと現行犯逮捕だぜ。……ってわけで、部屋貸してくれる?」


リョクは人懐っこい笑顔を浮かべて、駅員さんにそんなお願いをした。


「あ、うん。でも、こっちも手続きがあるからね。学校少し遅れちゃうけど大丈夫?」


駅員さんの質問に、リョクはとうに連絡済みだって、と笑って答えた。
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