花は野にあるように
そんな風に。


見とれて立ち止まっていた僕の耳に、さや、と葉ずれの音が届いて。


そして少し涼やかさをまとったゆるい風が僕の頬を撫でていく。


その感触に、僕はようやく我に返った。


そうだよっ!


なんの為に早く登校したのか忘れて、ぼんやりと見とれている場合じゃなかったのにっ!


山元先生の菊の花が昨日の嵐でヒドイ事になっていないか確かめなくっちゃっ!


自分がこんな時間に登校する事にした理由を思い出して、僕は足を踏み出した。


そうして、中庭の奥に置かれている道具置き場の前へと急いだ。
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