花は野にあるように
静かな朝の中庭の片隅に置かれた作業台は、コスモスの花壇の前に位置していて、道具置き場とは片仮名のトの字の一画目と二画目の位置関係にある。


その二画目の線を仮想のラインでほんの少し伸ばした場所に、昨日、山元先生の菊の鉢をリョクが固定してくれた木の椅子がある筈だった。


「ここに………って。
あれ?」


確かに昨日、その場所にリョクが固定してくれたのを一緒に見た記憶があるのに。


そこには。


なぜだか、ドラム缶………だとしか思えないものがドン、とその存在を主張しながら起立していた。
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