花は野にあるように
「ドラム缶………だよね?」


一応、声に出して確認してみる。


でも僕の胸の少し下あたりまである高さのドラム缶は、当然話しかけたって返事を返してくれるわけもなくって。


鈍色の表面に、剥げかけたペンキの名残を貼り付かせたまま、ただそこに佇んでいる。


やっぱりドラム缶にしか見えないんだけど、どうしてここにあるんだろう?


それから一体誰が持って来たんだろう?


でもって、先生の菊の鉢はどこへ行ったのかな?


なんだか疑問ばかりが湧いてきて、僕の頭の中はハテナマークで埋め尽くされてしまいそうになる。
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