花は野にあるように
ふるふると僕は首を振って、リョクを見上げた。


気分はもう悪くない。


気になるのは……。


「リョク……何て言って学校に連絡したの?」


「んん?ああ…。ちゃあんと、ふたりでチカン捕まえたって言っといたよ。」


携帯の入った胸ポケットを上から軽く叩きながら、リョクはそう言って、それから僕の耳に口を寄せて、少し小さな声で僕に囁いた。


「オトリになってくれたお前を、女の子と間違えた間抜けなチカンって事になってる。……気にしていたのは、それか?」
< 111 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop