花は野にあるように
「リョクって………っ!」


リョクの身体を揺さぶっていた僕の腕を急につかまれて。


僕の声が途切れてしまう。


「リョク………?」


とられてしまった腕はそのままに、僕が問いかけるようにリョクの名前を呼ぶと、パチリという音が聞こえるんじゃないかって思えるぐらいにハッキリと、リョクの目が大きく開いて。


「んん?
ミキ、おはよ?」


僕はにっこりと笑ったリョクに出会った。


その様子は思いっきり普通で、僕はまるでここが、リョクの家で、布団で寝ていたリョクを無理に起こしたような錯覚を覚えそうだった。
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