花は野にあるように
「な?
無事だろ?」


そう言ってリョクが指さす方へ僕は顔を向ける。


「うわぁ、これって!」


僕は思わず声に出しながら鉢の方へと歩み寄る。


そこには、昨日リョクがとっても大胆な方法で助けようとしてくれていた山元先生の菊の鉢が、昨日の姿のままスックと立っていた。


「昨日、切った場所があるだろ?
その上に1枚だけ小さい葉っぱがわざと残してあるんだよ。
水上げの様子を見られるように、な。
それって今、どんな様子?」


リョクにそう訊かれて、僕は屈み込んで菊の様子を確かめる。
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