花は野にあるように
僕はリョクを見上げて、怒って見せる。


見上げながら怒るのって、結構まぬけな感じなんだけど、そんな事気にならないぐらいに僕はリョクの行動に驚かされていた。


「捨てたかったわけじゃないって。
ただ、逆さにしちまうと全部こぼれてしまったんだってば。」


そう言うリョクの口調も、自分が言っているのは言い訳だって事はよく解っているみたいだし。


「………後で、おじさんに一緒に謝りにいこうね?」


だけど、肩を丸めてなんだか小さく見えるリョクを眺めているうちに、僕からはそんな言葉が出てしまった。
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