花は野にあるように
「………怒んねぇの?」


意外だったんだろうな。


リョクがちょっとビックリしたみたいに僕を見ている。


「うん。」


自分でも不思議なぐらいに、僕の中からはリョクをたしなめる言葉は出てこなかった。


「おじさんが折角作ってくれたモノを台無しにしちゃったんだから、本当はもっと怒らなくちゃいけない筈だって解ってはいるんだけどね、でも、僕は勝手だからリョクが怒られるの判っているのに、こうやって山元先生の菊の花を護ってくれた事の方を喜んでしまってたりしてるんだ。」


我ながら、ホントにヒドイと思うんだけどね。
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