花は野にあるように
僕がそう訊ねると、リョクは斜めになったままのドラム缶を上手に転がしながらほんの少し首を傾げた。


「んー?
出来ねぇ事だらけだけどな?
親父やオフクロに比べりゃ、俺なんてまだ歩く事も出来ねぇ赤ん坊同然だしな。」


ドラム缶は雨で弛んだ地面の上に、真っ直ぐな線じゃなくて斜めに切り込みのある不思議な模様を描きながら続いていく。


その上をたどるようについて歩きながら、僕はリョクの言葉に驚いた。


「リョクが赤ん坊なの?
だったら、僕なんて生まれる以前だよ!
何にも出来ないのは僕の方だし。」
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