花は野にあるように
「………うん。」


そう答えて、つないでもらった手にほんの少しだけ力を込めると、リョクが驚いたみたいに僕を振り向いた。


「……………マジ?」


自分が言い出したくせに、そんな風に聞き返してきたりするし。


ちょっと悔しい僕はだから。


「リョクが嫌ならやめちゃおうか?」


ちょっと上目づかいでリョクを見上げながら、僕は離すつもりなんてない手のひらから少しチカラを抜いて見せる。


「………や、じゃねえって。」


鼻の頭を掻きながら、リョクはポソリと言って。


僕の手を包み込むように、キュッと握りしめてくれた。
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