花は野にあるように
昨夜、英語の辞書と格闘していた時に見た、真っ暗な空と突き刺さるんじゃないかって思うぐらいに痛かった雨足を思い出して、僕は言葉を失ってしまいそうになっていた。


あんな中でリョクはたった1人でずっと菊の花を守っていたって言うの?


「ん。
ってもまぁ、風は夜更け前に止むのはわかっていたし、雨だって風が止めば穏やかに変わるのも知っていたしな。
マジに押さえていた時間はそんなには長くはなかったんだけどさ。
ただボンヤリと座り込んでいるってのが退屈でなー。」


そう言いながらリョクは意味ありげに僕を見た。
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