花は野にあるように
「リョク?」


もういちど呼び掛けた僕を、リョクは言葉のないままに腕を引いて抱き寄せた。


そして、肩を抱くようにしながら僕の耳元に口を寄せる。


「あのさ、ミキ?
ミキは自分を客観的見たことある?
周りからどう見られているかとか、判ってなかったりしてない?」


すっごく近い所から吐息と一緒にささやかれて、僕の心臓は勝手にドキンとはね上がる。


「や、やだな、それっくらい判ってるよ。
けど、女みたいにウジウジしているって言われた事はあるけど、女の子に間違われた事はないよ?」
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