花は野にあるように
全くリョクの言動が理解できていない僕を、腕の中から解放して手を繋ぎ直してくれたリョクは、池の側まで来ていた僕達が立っている小径を外れて木々の間へと入っていく。


一体、どこへ行くつもりなんだろう。


「ね、リョク?
そっちに何かあるわけ?
一体どこに行くつもりなの?」


訳のわからないまま手を引かれている僕は、ガサガサと大きな音を立てる葉ずれに負けないように、少し大きな声でリョクに呼び掛ける。


「んー。
そいつは見てのお楽しみ、と。
大丈夫、すぐに着くし。」


こっちを振り向きもしないまま答えるリョクの声はなんだか楽しげで。
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