花は野にあるように
そうなんだ。


折角、綺麗なのに誰にも見てもらえないなんて、悲しいよね。


僕が庭の木々を見回しながら頷いてると、リョクは池の端の方を指差した。


「あそこから自然に水が湧いてるんだ。
で、それを地面の中に埋め込んだ陶器の管を通して、あっちの池へと水を通しているんだよな。
そうして作った池に、ちょうど良い数の魚と、ちょうど良い数の水草と、その他の小さな生き物達。
それらが作り出す、ちょうど調和が取れた小さな世界をオフクロはあの場所に作った。」


そこまで話すと、リョクは少し言葉を切ってしまう。


そして、何故だか照れたように鼻の頭を掻いた。
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