花は野にあるように
それはそんな言葉の中にも見えるようで。


ピン、とはじいた前髪の雫がきらめきながら水面に落ちていく様を目で追いかけながら、リョクは困ったようにも笑っているようにも見える眉の下がった表情で言葉を継いだ。


「んっとさ。
俺ってその辺の男よりもいいオトコだとミキも思わねえ?」


え?


突然の質問に、僕はリョクの意図をつかめないままに、頷いて答える。


「あ、うん。
僕なんかより、よっぽどカッコいいし、素敵な男性に見えると思うよ?」


一緒に歩いていたって、女の子達の視線はいつだってリョクの方に向けられているしね。
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