花は野にあるように
………え?


リョクの台詞の最後の言葉に、僕が止まってしまったのと。


僕のお腹の辺りから、空腹を知らせるサイレンが響いたのはほぼ同時で。


「え、あ、ええっ?」


僕は恥ずかしいのと、あまりにもタイミングが良すぎる事に、まともな言葉も出せないでいた。


「ほらな?」


そんな僕を、リョクは肩ごしに振り返り、笑った顔を見せてくれた。


「先に出て、飯食ってて?
俺も、も少しだけ風呂を堪能したら出るから。」


そうして、そんな風に言われてしまった僕には、素直に頷く選択肢しか残されていなかったみたいだった。
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