花は野にあるように
ほんの少し、歩いたところで。


リョクは突然立ち止まった。


「くっそぅ、ムカツク。
あーっ!もーっ!
あんな奴、気を使って警察なんかに引き渡すんじゃなかったっ!!
あんな奴は裸にひんむいて、ネクタイと靴下だけ付けさせて腹にマジックで『私が痴漢です』って書いてやって駅前デパートの屋上から逆さに吊してやれば良かったんだっっ!
情けを掛けてやるなんて、俺も甘くなったもんだぜっ!」


人通りはなかったとはいえ。


リョクの声の大きさと。


その内容に。


僕はびっくりして言葉も出せないまま、リョクを見上げた。
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