花は野にあるように
いつの間にか僕の後ろに立っていたリョクは、僕の腕を引いて食卓の方へと誘導しながら千代さんにそう言葉をかけた。


「おや緑風さま。
充分に温まれましたか?
ああ、唇の色も戻ってらっしゃいますね。
はいはい、では私は失礼してアイロンをかけて参ります。」


ニコニコと笑いながらそう言うと、千代さんはパタパタと隣室に続いているらしい扉を開けて出ていった。


あんなにずうっと話し続けていて、疲れちゃったりしないのかなあ。


僕は妙な心配をしてしまいながら、それをぼんやりと見送ってしまう。
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