花は野にあるように
「じゃあリョクが、しょっちゅう顔を見せてあげなきゃダメだよね?」


ふんわりとよそわれたご飯から立ちのぼる美味しそうな香りの湯気に空腹を実感させられながら僕はそう言った。


「ミキ?」


お茶碗を手渡してくれていたリョクが、いぶかしげな表情を僕に向けてくる。


「だって、リョクは理事長先生の事も千代さんの事も大好きで心配なんでしょ?
ここに住んであげない理由は判らないけど、2人の事が心配なら学校に近いんだし毎日でも顔を出してあげればいいんじゃないの?」


僕の言葉に、お茶碗からあがる白い湯気越しに見えるリョクの顔が少ししかめられたのが見えた。
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