花は野にあるように
言いながら、ひとつ大きく頷いたリョクが次に顔をあげた時に浮かべていた表情は、いつものすっごくリョクらしい笑顔で。


だから僕は、さっき見たハズのらしくない薄い笑い顔は僕の見間違いだったのかな、って思ってしまって。


「取り敢えず食べよう?
僕、さっきからものすごくお腹空いちゃってる事を自覚させられてるよ?
だってスッゴク良い匂いなんだから。」


「ん。
千代さんの作る飯はいつだって旨いぜ?
なんたってあの味にうるさいばあさんの舌を肥えさせたのは千代さんなんだからな。」


普通にそう返してくれるリョクに安心したりもして。
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