花は野にあるように

「おやおや、お２人とも嬉しい事をおっしゃってくださいますね。
それだけで千代は大感激でございますよ。
お料理の秘訣はですね、素材の味をそこなわずに、最大限その魅力を引き出すことにありますからね。
素材が良ければ、千代の腕が悪くとも素材の方で勝手に美味しい料理になってくれるのですよ。」


にこにこと笑いながら千代さんは僕の質問に答えてくれて。


「さて。
ですがお２人とも、そろそろお急ぎ下さいませ。
さ、お着替えをどうぞ。」


うながされるままに立ち上がった僕の腕に、２人分の制服が千代さんから渡される。