花は野にあるように
「オフクロの………って!
この服、リョクのお母さんのなのっ?」


腕に抱えている白いジャージに目を落としながら、僕は2人に問い掛ける。


「あらあら。
拝見した限りでは、確かにお似合いでございましたね。
そちらは水生さまの学生時分の体操着ですよ。
懐かしいですね。
その白い体操着が毎日のように泥だらけになってしまっていて、白くなるまで洗濯を繰り返したあの頃が昨日の様ですよ。」


「うわ。
20年ぐらい前のかよ。
よくそんなのがすぐに出てくるよな。
さすがは千代さん。」


2人から返ってきた言葉は、なんだか僕の希望していたのとは違っていたわけなんだけど。
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