花は野にあるように
でも借りた服にしては、なんだか馴染んでしまっていたジャージに、僕は目を落としてみる。


ちょっと使い込まれた感じはあるけど、とても丁寧に扱われてあったんじゃないかな。


言われなきゃ、そんな前からあった服だなんてわからないよ。


「大事にされてきた服なんですね。
そんな大事な服をお借りできて嬉しいです。」


ちっさくて可愛いって評判のリョクのお母さんの服がサイズぴったりだった僕自身については、ちょっぴり悲しくなるものはあるんだけどね。


そんな事を思いながら、僕は手の中のジャージを千代さんへと差し出した。
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