花は野にあるように
「おやおや、そんな風にお願いされてしまってはイヤとは言えませんね。
ミキさまは、とてもよく気の回る優しい方ですね。
こんな年寄りにまでお気遣いいただいて、感激しきりでございますよ。」


千代さんの言葉は止まらないけど、その手はもっと働き者で、それだけ話しながら食器を拭いているだけの僕の方が追い付かないぐらいの速さでピカピカに洗い上げていく。


「料理も美味しいし、家事も完璧だし、僕、千代さんからたくさん教わりたい事があります。」


心の底からの僕の気持ちを伝えると、千代さんはカラカラと笑った。
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