花は野にあるように
そんな僕の耳に、苦笑混じりのリョクの声がふわりと吹いた風と一緒に届けられた。


「そーゆー事を2人で話していたんだ?
なんか盛り上がってっから、一体何の話をしてんだろうって思っていたけどさ。
そっか。
ミキは千代さんに気に入られたんだ。
良かったな、あれで千代さんは見る目があるんだぜ。
気に入らない奴には、結構容赦ないしな。」


ふふ、とやわらかく笑うリョクの表情が見たくて、僕はこっそりと後ろを振り返る。


そこには少し俯き加減だったけど、口元に笑みを刻んだリョクが僕の足跡を追いかけるように歩いている姿があった。
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