花は野にあるように
そのせいなのか。


僕は一瞬、自分がリョクっていう親鳥に守られている小さな雛鳥のような気持ちになってしまった。


そうしてその気持ちは。


そのままでも。


守られているまんまの僕でもいいかな、って思えるぐらいに強烈に僕を誘惑したんだけど。


「ん。
頑張らなきゃな、って独り言。
そう、独り言を言ったんだ。」


そんな風に続けたリョクの表情が、何故だか笑っているのに哀しんでいるように見えてしまって。


その寂しげなリョクの微笑みを見た僕には、やっぱり守られているばっかりな自分じゃダメだって強く実感してしまっていた。
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