花は野にあるように
口紅を塗られた唇はなんだかすっごく気になるし。


「あー。
ミキちゃん、お化粧崩れちゃうから、こすっちゃダメー。」


突然、小林さんの声が僕に向かってきて、無意識に顔をこすろうとしてしまっていた僕の手はピクリと空中で停止させられた。


「え?
あ!
ご、ごめんなさい。」


自分がやろうとしていた事が、さっき女の子達が一生懸命にしてくれていた行為を無にしてしまうような事だって気付いた僕は、慌てて謝罪の言葉を探す。


「本当にごめんなさい。
つい、うっかりこすっちゃいそうになっちゃって。」
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