花は野にあるように
「つか、止血しなきゃなんねえんだから、早く足を上に上げねえと。」


リョクはそう続けて、僕の肩に手をかけてその場に座らせようとする。


その言葉に従いかけた僕は、だけどそうすると折角の衣裳が汚れてしまう事に気付いた。


「あっ!
衣裳を汚しちゃう前に脱がなきゃだよね?
あ、靴もっ!」


女の子の1人から借りているこの靴だって、血が付いちゃったら大変だよ。


こんなにピカピカしているきれいな靴を汚して返されちゃったら悲しい気持ちになるに違いないし。


そう思って靴を脱ごうとした僕の両腕をリョクが痛いぐらいに強く握った。
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