花は野にあるように
その合図で、立て掛けてあった使っていない大きな段ボールが床の上に広げて置かれる。


「ミキちゃん、この上に靴を脱いで上がって?」


あ。


確かにこれなら、ドレスを汚さないで座れるよね。


「うん。
あ、でも………。」


スカートをどうしよう。


そう言いかけた僕の言葉を、小林さんの声がさえぎる。


「スカートなら上から脱がしてあげるから、とりあえず靴を脱いで?
ほらほら、大地君もボーッとしていないで、ミキちゃんを支えてそっちへ移動してー。」


ぽんぽんと言われてしまって、僕達はなんだか雰囲気に飲まれたまま小林さんの声に従う。
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