花は野にあるように
するり、とシャツの中にリョクの熱い掌が忍び込んで僕の肩からシャツを滑り落とした。


ひんやりとした空気にさらされた僕の肩を、リョクの掌が熱を移すかのように丸く撫でていく。


そこから生まれる感覚に耐えられなくて、僕はぎゅっと目を閉じた。


だけど。


閉じた視界のせいで、余計に敏感になってしまった僕の首筋に、リョクの吐息がかかったかと思うと。


噛み付くようにリョクはそこに顔を埋めた。


「…………っ!」


僕の口から言葉にならない声がこぼれる。


それが聞こえたのか。


リョクが僕の首筋を強く吸い上げた。
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