花は野にあるように
僕の前に立つリョクを迂回するように身体を斜めにして、僕の近くへと顔を寄せながら、真知子さんはその魅力的な赤い唇でニヤリと笑みを形作った。


「ねぇ?
ミキちゃんは、クラスの劇に出たいわけ?」


ニイッと笑った表情で真知子さんは聞いてくるわけなんだけど、僕にはどうしても真知子さんの目が笑ってはいないように思えてしまって。


だから、ドキドキしながらも僕は真知子さんの顔をしっかりと見つめ返しながら頷いて言った。


「もちろんです。
今まであんまり交流のなかったクラスのみんなとせっかく一緒にここまで頑張って来たんです。
明日が本番って所で、僕の所為でリタイヤするなんて、絶対に嫌です。」
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