花は野にあるように
「………ゃ。」


小さく。


聞こえないぐらいにしか出なかった僕の声に。


「聞こえねぇな。」


と、答えてリョクは僕の耳の後ろを舐め上げた。


ゾクゾクとする感覚が全身に走って、膝から力が抜けていきそうになる。


けど。


リョクに、こんな事されてるのを誰かに見られちゃうなんて………やだよ。


「や……っ!」


僕は必死に耐えながら、頑張って声を上げた。


そして全く力の入らない腕でリョクの胸を押すと。


嘘みたいにすうっと。


リョクの身体が離れた。



………え?
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