花は野にあるように
「お礼を言われるには、まだ早いと思うよー?」


ちょっとだけ照れたような表情でそう答えた小林さんは、また僕に顔を近付けるとニイッと企みを隠さない笑顔を浮かべた。


「劇の台詞は入ってるよね?」


うん。


それはもちろん。


「ちゃあんと、僕達はお互いのパートの分まで覚えてるよ?
だって、それっぐらいに練習したよね?」


うん、と頷いて問いに答えながら、僕は胸を張る。


だってそれっくらいには、僕だって頑張ったと思うんだ。


「ん。
ミキが頑張っていたのを他の誰かが認めなかったとしても、世界で俺だけは絶対にミキの努力を認めるぜ?」
< 1,398 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop