花は野にあるように
本校舎と特別棟の間から続く西庭園への道は、入ってすぐに左手の方に大きく曲がる。


そこからまたすぐに大きく回り込むように右手に曲がる、瓢箪の底みたいな道で、急ぐ人にはちょっとイラってしちゃうような道なんだけど。


「こんなデザインだから、あっちから切り離された空間みたいな雰囲気を出せるんだろうな。」


先を歩きながらリョクがボソリと言う。


「うん。
グルリって回り込んじゃうから、校舎が樹の影になっちゃうし、向こうの音もあんまり届かない気がするよね。」


まるで、この静かな森の中でふたりっきり、みたいな気分になっちゃう。
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