花は野にあるように
少し苦笑混じりに笑いながら、リョクは周りの木々を示して見せた。


「ここからだと、校舎は全く見えないように錯覚させられるだろ?
ホントはすぐ隣に建っているのにさ。
あのパークだって一緒で、ホントはすぐ横を車も通るし、トラックだって走ってるんだよ。」


けどな、ってリョクは言葉を紡ぐ。


「『夢の国』へお金を払ってまで遊びに来ている観客に、虚構の世界で楽しんでもらう為には、興醒めしちまう下手な現実社会のカケラなんて見えない方がいい。
だから、巧みな設計で視線の先に現実社会に引き戻すようなモノが見えないようになってんだよ。」
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