花は野にあるように

「へぇー！
そうなんだ！」


リョクの口から語られる話に僕は感心するしか出来なくて、改めて言われたことを考えながらあたりを見回してみる。


そのつもりで見てみると、確かに校舎の姿は高い樹であんまり見えないようになっているし、その高い樹の間には中小の木々が重なって見えるように配置されていて、全体で目隠しの役目をはたしている。


「樹は音の伝達を邪魔するから、向こうの雑音が届かないようになってるしな。
別世界って雰囲気をかもし出すには絶好の設計だよな。
………認めるのはなんか悔しいけどさ。」


ポソリ、と最後に呟くように言ったリョクの言葉が、僕にはすごく気にかかる。