花は野にあるように
どうしてリョクが、そこで悔しくなっちゃったりするんだろう。


「ね、どうして悔しいわけ?」


見上げながら訊ねる僕の視線の先で、眩しそうな表情で空を見上げていたリョクはゆっくりと振り向いて。


そして、ほんの少し笑った。


「………ん。
このガッコを設計した奴は、ばぁさん家の元の持ち主で、あの庭の設計した奴でもあってさ。
ばぁさんの幼馴染みで、じいさんの親友だったらしい。
けど自分の公爵家を滅亡させて潰した男でさ。
俺にはどうしても好きになれない奴なんだ。
なのに、奴の作品にはどうしても惹かれてしまう。
それが悔しいんだ。」
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