花は野にあるように
僕の顔を見て、ふっと目を細めたリョクは自分のかばんと僕のサブバッグを肩にかつぐように持って、トイレのドアを開けて言った。

「んじゃ、どうぞ?」


ウインクを決めながらドアマンに扮してくれるリョクに、僕はつい笑ってしまいながら、ドアを抜ける。


そのドアの外側の把手に、何かが下がっているのに気が付いたのは、リョクがドアから手を離した時だった。
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