花は野にあるように
……ふうん?


いまいち、よくわからなくて、僕は首を傾げる。


「人里に降りるのは滅多になくて、生活は基本的に自給自足。
仕事は山の見回りや、森林の手入れ、動物の保護や害獣の駆除。
足元からはどんな動物が飛び出すかわからないし、熊とも戦う。
女は滅多にいないから、お前みたいなヤツにはそういう身の危険もあるかもな。」


リョクが、ニイッと笑って意地悪く言う。


「え……っ。」


絶句する僕を見て、リョクは吹き出した。


「ウソ、ウソ。冗談だよ。んなしょっちゅう熊は出ないし、いくらマタギが女日照りでも、見境無く襲ったりするような情けないオトコはいないよ。」
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