花は野にあるように
だけどな、とリョクは続けた。


「オフクロはそんな風に脅したようだしな。
親父の仲間も、あーゆー輩は嫌いだからな。
徹底的にやられるだろうな。
見に行きてえなぁ。」


にぃーっと笑う悪戯な表情のリョクは、ドキドキするぐらい魅力的だったんだけど、僕はそんな事を吹き込まれて人里離れた山奥に放り込まれてしまうという、あのおじさんが少し可哀相な気がした。


「ね?それってヒドクない?チカンされたぐらいなら、僕はもう大丈夫だし……。」


許してあげて……って続けるつもりだった僕は、リョクの硬い表情に気が付いて言葉を途切れさせた。
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