花は野にあるように
あえぐように、あごを反らした僕の喉元をリョクの熱い手が、ゆうるりと撫で上げていく。


そして、存在感のある親指が僕の唇をなぞるように触れていった。


「や………あ。」


ふる、と小さく首を振る。


「やだ…‥。リョク、やめ……っ!」


やめて、と言おうとした僕の耳にリョクが歯を立てる。


「痛っ……う。」


「何が『やだ』?
ちゃんとおまえの希望通りに、トイレじゃないし、誰も乱入したりはしない。……なんにも、ためらう理由なんてないぞ?」


リョクの魅力的な声が、また僕の耳に注ぎこまれる。
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