花は野にあるように
「ほら、見てみろよ。」


リョクの手が僕の顔を優しく上げる。


いつのまにか僕達の前には大きな姿見が置かれていて。


その中から、額に垂れた前髪ごしに僕を見ているリョクと。


上気した顔に、すっごくとろけたような表情を浮かべている僕が。


こっちを見ていた。


「や……っ!」


やだぁっ!


こんな自分なんて。



見たく……ないよ。
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