花は野にあるように
「ち、ちがっ……。」


鏡の向こう側で続いてる濃厚なキスシーンから、ようやく目を逸らして僕は否定した。


「ふうん?欲しくないんだ。……残念。」


含みを残したような言葉を僕に囁いたリョクの唇が、すぅっと首筋を滑り降りて。


朝、僕の身体を熱くさせた場所にあてられた。


「あ………っ!」


まだ、なんにもされてはいないのに、僕の身体を震えが走る。


ちゅ、と軽くキスを落とされただけで。


灼熱の太陽に灼かれたような感覚が全身に広がる。


「あぁっ!」


たまらずにこぼれた僕の声が、静かな部屋の中に高く響いた。
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